国の指定難病もちのママになった【筋強直性ジストロフィー】

2022年5月に次女を出産しました。

緊急帝王切開、早産で生まれた我が子は

『筋強直性ジストロフィー』という病気を持って生まれてきました。

名前は知ってる人も多い「筋ジストロフィー」の型の1つで、数万人に1人の難病です。

前は「筋緊張性ジストロフィー」とも呼ばれていましたが

今は筋強直性ジストロフィーの名称で統一されました。

一般的には成人になってから発症する病気として知られていますが

我が子は先天性

今回はそんな筋強直性ジストロフィーがどんな病気なのか

先天性だと、どう違うのか

妊娠期、出産の時にどんなことがあったのかをお話しします。

この記事でわかること
  • 筋強直性ジストロフィーは遺伝性疾患
  • 先天性は乳児期を超えると成長して、青年期から衰退する
  • 妊娠時、羊水過多や胎児の側脳室拡大でハイリスク妊婦になった
  • 緊急帝王切開になる確率が高い
  • 筋強直性ジストロフィーの研究は進んでいて、患者会もある
目次

筋強直性ジストロフィーってどんな病気?

筋強直性ジストロフィーは遺伝性疾患

まず筋強直性ジストロフィーはどんな病気なのか説明します。

問題なのはX染色体の中の19番染色体。

この染色体の遺伝子の中(DMPKの非翻訳領域内)にある

3塩基(CTG)の反復配列が伸びていることが原因です。

point

健常者の反復回数 ➡ 35回以下

異常な反復回数 ➡ 50回以上

うちの子 ➡ 約1,700回

(先天性の場合はだいたい1000回を超えるそうです)

親から遺伝する確率は1/2。男女は関係なく。

母親からの遺伝が9割と言われています。(親の遺伝子検査をしてみないとはっきり分かりませんが…)

子供に伝わるときに反復配列が伸びる特徴があり

親が症状に気づかないくらい軽症でも、先天性の子が生まれてくる可能性があります。

まさに我が家がこれです。私には何も自覚症状がなく、健康診断でも引っかかったことはありません。

上の子は何も問題なく生まれたので、まさか遺伝性疾患を持っているなんて思いもしませんでした。

(私の遺伝子検査はしていないので確実ではありませんが、おそらく私が持っているんだろうと思います。)

筋力が弱くなる

筋ジストロフィーは筋肉の病気なので

他の型でも筋肉に何かしらの異変がおこりますが

筋強直性ジストロフィーはだんだん筋力が弱くなり、萎縮していきます。

特に有名な症状
  • 手を強く握ったときに素早く開けない(ミオトミー現象)
  • ペットボトルの蓋が開けられない
  • つまずきやすい
  • 寝ている状態で頭を持ち上げにくい

これは異常に伸びた3塩基(CTG)が筋肉の生成を阻害するからです。

成人型の場合、今までできていたことが、だんだんできなくなっていきます。

違和感を覚えたら神経内科を受診しましょう。

色々な臓器に合併症が起こる

筋強直性ジストロフィーは体の色々な臓器にも問題がでるというのが特徴です。

1つ1つの症状は、ストレスかな?

年齢かな?

ちょっと調子悪いかな?

くらいにしか思わないものも多いです。

自覚症状もなく、つつがなく日常生活を送っていると

発見が遅れることがあります。

主な合併症一覧
  • 筋肉…筋緊張低下、筋強直
  • 心臓…不整脈、心筋症
  • 呼吸機能…中枢性換気障害、肺胞低喚起
  • 消化管…嚥下障害、便秘 など
  • 眼…白内障 など
  • 耳…聴覚障害、難聴、中耳炎 など
  • 神経…神経発達遅延 など
  • 内分泌…耐糖能障害、甲状腺機能異常 など

これだけでもすごい数ですよね。

その他にも成人の場合、外面的特徴として

前頭部禿頭や西洋斧様顔貌(頬がこける)なども出てきます。

先天性だと何が違うの?

では、先天性ではどうなのか?というと

成人型とは少し異なります。

成人型と違って発症するまでの体の基礎がなく

成長する度に遺伝子のコピーエラーが起きるので

まず一番の特徴は病弱なところという印象です。

先天性の特徴

我が子を元に先天性筋強直性ジストロフィーの身体的特徴をまとめました

  • 疲れやすい
  • 風邪を引くと長引く
  • 痰が出やすいけど切れない
  • 咳が弱い
  • ミルクやお茶を一気に飲むとムセやすい
  • 身体発達はゆっくりだけど、確実に育っていく

他の疾患を持っている子もそうですが

風邪を引くと鼻水や咳や痰が長引くし、誤嚥性肺炎になりやすいです。

我が子はまだ誤嚥性肺炎で入院したことはありませんが

風邪の季節は特に注意が必要です。

また、合併症が出てくるのは4~5歳くらいからだそうで

多い合併症としては、白内障、心疾患、嚥下障害、中耳炎などです。

娘は1歳児健診で斜視が指摘され眼科を受診すると

遠視、斜視、乱視、弱視と診断されました…

今は治療用メガネをしています。

視力に問題が出るのも特徴の一つかもしれません。

(遺伝の可能性もありますが)

どの病気の子もそうですが、定期的な検診が不可欠です!

見た目の特徴

外面的にも先天性の場合、成人型とは違った特徴があります。

顔周りの筋緊張が弱いので

あご周りが丸く

口が常時開いている

ことが多いです。

首をすぼめやすいので、二重顎になります。

これは乳幼児期がすぎると、だんだん首が座ってきて改善されるようです。

精神発達はどうなる?

先天性の病気が見つかると、まず1番に考えてしまうのは

知的機能ではないでしょうか。

私もそうでした。

どれくらい遅れるの?

喋れるの?

言葉を理解できるの?

こればかりは、「個人差が大きい」としか言えませんが

先天性筋強直性ジストロフィーの場合、

言語能力は問題ない(会話できる)場合が多いようですが

視覚認知能力が低いという検証結果が出ています。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/ojjscn/41/3/41_163/_pdf/-char/ja

小児神経学会総会の論文

妊娠出産時の異常

お腹の子が先天性であった場合、妊娠中と出産時に異常が発生することが多いです。

私自身もハイリスク妊婦になりました。

どのような異常があるのかご紹介します。

妊娠中の異常

羊水過多

私も出た症状ですが

先天性の場合嚥下機能に問題がでることがあります。

そのため羊水を上手く飲めず、お母さんは羊水過多と診断されます。

微弱胎動

筋ジストロフィーの赤ちゃんは筋力が弱い特徴があり

胎動を感じにくいようです。

ただ、初めての子供だと「こんなものかな?」と思うでしょうし、

「女の子だから力が弱いのかな」と思うこともあるでしょうから

胎動だけで判断することは難しいでしょう。

切迫早産

疾患を持っていることは母子共にリスクを伴います。

理由は分からないけど、切迫早産になってしまうケースはよくあるようです。

胎児脳室拡大

脳には側脳室といって、髄液が貯まっている場所があります。

その側脳室が標準より大きくなっていると「脳室拡大」と診断されます。

私の娘も左側の側脳室が拡大しており、要経過観察となりました。

出産時の異常

妊娠中も目に見える異常がありますが

出産時にも特徴的な異常がいくつかあります。

もちろん、先天性筋強直性ジストロフィーのベビーをもつママが

全員そうなる訳ではありません。

あくまでも参考程度に見てくださいね。

緊急帝王切開

理由はわからないけど、とにかく突然容態が急変することがあります。

私の場合は

  • 胎盤が半分剥がれる
  • 大量の出血
  • 突然の逆子

でした。

これだけ聞くと恐ろしいですが、痛みはありませんでした。

その他でいうと

  • 心拍の低下
  • 胎動がなくなる

といった症状で帝王切開になる場合があるようです。

新生児仮死

緊急帝王切開や早産の赤ちゃんでは多いと思いますが

もれなく新生児仮死になることが多いです。

  • 自立呼吸ができない
  • 筋緊張がなく手足がだらんとしている
  • 元気がない

といった状態で産まれてきますが

新生児科の先生や看護師さん達が

産まれてすぐに蘇生してくれます。

妊娠中に先天性筋強直性ジストロフィーと診断されることはなく

産まれてから総合的に判断して、検査後確定します。

他の疾患でも同じような症状や状況になることもあるので

一概には言えませんが、この情報が誰かの役に立てれば幸いです。

↓ 新生児、小児の予後でわかりやすい論文 ↓

「小児期発症の筋強直性ジストロフィーの臨床とケア」

筋強直性ジストロフィー患者の現状

筋強直性ジストロフィーは珍しい病気で

患者数もかなり多いというワケではありません。

しかし、病気の原因が突き止められていたり

症状を緩和するための薬の開発は進んでいます。

ただ、これらは成人用なので

小児用の薬の開発はまだまだ時間がかかりそうです。

DMーfamily

筋強直性ジストロフィーには患者会があり、活動も活発です。

最新の情報、研究報告、患者会の開催など

色んな情報を発信してくれています。

どの病気でもそうですが、本人とその家族が

持っている疾患についてよく知ることが何よりも大切だと思います。

筋強直性ジストロフィー患者会(DM...
筋強直性ジストロフィー患者会(DM-family) 筋強直性ジストロフィー患者会(DM-family)は、筋ジストロフィーの一種である筋強直性ジストロフィーの患者による、患者と家族、みんなのための患者会です。

参加されてない方は是非参加しましょう♪

本人だけでなく、家族や身内の方でも賛助会員として参加できます。

まとめ

我が子に先天性筋強直性ジストロフィーの子を持ったことをきっかけに

病気について深く考えるようになりました。

「先天性の子供を持ったら怖い」?

いえいえ

1番怖いのは無知であることです。

先天性筋強直性ジストロフィーまとめ
  • 数万人に1人の遺伝性疾患
  • 9割が母親からの遺伝
  • 先天性だと妊娠、出産時に異常が起こることが多い
  • 原因遺伝子、薬の開発など研究は進んでいる
  • 小児の薬ができるのはまだまだかかりそう
  • DMー familyという患者会がある
  • 大切なのは定期的な健診

とにかくたくさんの情報を集めること。

この発信が誰かの役に立てることを願って。

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